Yukihiro INADA

感情とアート 第1画「怒り」

「感情とアート」シリーズ 始めます。

こんにちは、Yukihiro INADAです。

暑さの増す7月、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回のブログは作品の制作秘話です。

感情作家を標榜している自分としては、感情とアートのことを何か伝えていきたいな‥と常々思っていまして。

晴れてWebサイト立ち上げましたので、そのあたりのことを連載していきたいと思います。

題して、「感情とアート」シリーズ。

僕の中で感情が絵になっていった様を記録していきます。

 

「怒り」

記念すべき第一回のフィーチャー作品は、「怒り」。

こちらの作品、ちょうどこの7月と8月にリアル展示で実物ご覧いただけます。

<優美展(京都〜東京の巡回展)>

7/23-28 be-京都にて

8/1-6 銀座ゆう画廊にて

詳細はこちらから

 

「怒り」は2月にミラノMADS galleryのグループ展 “F**K U”でも画像展示しましたが、反響が大きかった作品です。これまで縁のなかったスペインのギャラリーやイタリアのアートグループから出展のお誘いがあり、驚いたのを覚えています。

 

僕はいつも、テーマとなる「感情」が自分の中でリアルに感じられる時に絵を描きます。自分の感情を絵にする賞味期限があるようなものです。

ですから、この「怒り」を描いたときは、リアルに怒っていました。

もう少し正確に言えば、自分の中で閉塞感とか不満が解消されずにずーっと心に残っている状態といったところです。

難しかったのは、単純に怒りに任せて発散するような絵を描いてしまうと、心がしんどくなってしまって途中で描けなくなってしまうことです。

怒りのような一見ネガティブな感情を、どうすれば作品にしていけるのか。そこが本作の考えどころでした。

 

ネガティブな感情の奥に潜むのは・・

怒りについて調べてみると、動物的には生命を守るための機能。目の前に敵が現れた時に戦うか逃げるか。他の動物から襲われたり、子供が襲われたり、そういったシーンで相手に立ち向かって自分たちの命を守るための「怒り」のようです。

 

なるほど。確かに本能的に人間にも備わっているような気がします。日本で普段暮らしていて命の危険を感じることはそう多くないですが、怒りという激しい感情の奥にはいつも、生命あるいはそれに類するような何か守りたいものがあるのではないか。

そう考えてハッと気付きました。怒りの奥には確かに、守りたい自分の心がありました。

僕の場合のそれは、自分自身のプライドでした。プライドって言うと何だか高飛車な感じがしますね。ですが先入観を外してみると、プライド・誇りは本当は自分にとって大切なものなんだということに気付きました。

 

ネガティブな感情の奥に、とてもピュアなものが見えた。新たな発見でした。

そして、これで怒りの絵が描けるな、と直観しました。

 

描いている時は本当に怒っていた

僕の絵の持ち味は、絵に想いをしっかり乗せること。そのために、絵のテーマと同じ感情をリアルに持ちながら描いています。この作品を描いているときを思い出すと、本当に怒りながら描いていました。絵の全体に広がる、赤や茶色の激しい筆跡。筆でキャンバスを殴ったり、突き立てるみたいにして描いていました。筆から怒られてしまいそうなほどでした。

描きながら怒り、怒りながら描く・・・。息をするのを忘れたり、逆に息切れしたりして、短時間でしたがハードな制作だったことを覚えています。多分恐い顔をしていただろうな、と思います。だからこそ、感覚が研ぎ澄まさされ、色選びや筆選び、筆運びに迷いがありませんでした。その一連の経験が、キャンバス上に現れています。

 

絵の中心部分には、守りたいものの象徴として球体を置きました。

僕はなぜか球体が好きで、大切なものやパワーみたいなものは球体のイメージで出てきます。大きすぎず小さすぎない大きさで描きました。

こうして、大切なものを守るように存在する「怒り」の絵が完成したわけです。

 

対極に見えるものは同時に存在している

この作品を描き終えて、自分の中で新たな扉が開いたように感じています。

ネガティブとポジティブというのは表裏一体というか、色々な物事の中で同時に存在しているのかもしれません。物理の作用・反作用、上昇気流と下降気流、昼と夜。それらは別々のようでいて、必ず同時に存在している。

一人の人の心の中で繰り広げられる感情の宇宙にも、一見対極に見えるものが同時に存在している。そう思うだけで、自分自身も世界も少し違って見えるようでした。

 

 

感情のアート第1回はここまでとします。

作品ご購入はこちらから。

優美展詳細はこちらから。

 

それでは、またの日に。

 

2022.7.25

Yukihiro INADAのオフィシャルサイト

Yukihiro INADA

”感情;Emotion”が私のテーマです。人間にとって根源的で大切な心の仕組み。
しかし変化の激しい現代で、人が自分自身の感情を丁寧に見つめることは容易ではありません。
だから私は、自分の内面に浮かぶ感情をありのままに捉えて表現したい。
そうして創られた作品を通じて、皆様の心に何かしらの光が灯ることを願っています。

屋号 INADA Art & Product
営業時間 9:00-18:00
定休日 不定休
代表者名 稲田 幸博
E-mail info@yukihiro-inada.com

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